服1点をつくり、提供する。これがアパレルの原点。商品が変われば、販売の仕方も変わる。すべてが変わる。働きやすさや教育も含め、その一つひとつを見直します。
新しいタカキューは、ゼロから服をつくる
意見が言える、コミュニケーションが取れる組織
若いか、できるか
それぞれのプロになる。リスペクトのある関係
販売のプロを育てる
好きをスキルに変えていく
ワクワクしようよ!ドキドキしようよ!
代表取締役 社長執行役員 伊藤 健治
【01】改革と決意
2024年9月より株式会社タカキューの代表を務めております伊藤と申します。
前職では新卒で入社したアパレル企業に30余年在籍し、その多くをデザイナーとして仕事に臨み、最終的には経営(副社長)という立場で多くの学生さんや新入社員と関わってきました。
新しいタカキューをつくる。そしてこれが現在の私のミッションです。タカキューに来て、まず感じていることは「人の温かさ」です。お店を回っても本社でも、一人ひとりがすごく温かく接してくれる。この70年以上の歴史を持つタカキューを一度ゼロベースで捉え、すでに在籍している仲間とこれから入社される仲間とともに新しいタカキューをつくりたいと考えています。
70年という歴史の中で醸成された風土や既存の仕組みには、もちろん良い部分も悪い部分もあります。まずはゼロベースで捉えることで、そこが明確になると思うのです。
私はアパレル業界に身を置いて、その多くの時間をデザイナーとして仕事に臨んできましたし、まずは「ものづくり」の部分を見直していきたいと考えています。服1点をつくり、提供する。これがアパレルの原点です。
その時点で、いまのタカキューとは決別しないといけないかもしれませんね。何十パーセントOFFとか価格ではなく、「商品ありきの商売」へと形を変えます。これまではバイイングに近い商品づくりでした。新しいタカキューは、ゼロから服をつくる。
商品が変われば、販売の仕方も変わる。それに対して営業も変わる。全てが変わってくる。働きやすさや教育というところも含め、その一つひとつを見直していきます。
【02】目指す組織像
新しいタカキューで大切にしたいのは、意見が言える、コミュニケーションが取れるチーム。何となく言いづらいとか、上に対してものが言いづらいチーム、組織にはしたくないです。役職や年齢関係なく、フラットに話ができる、お店であればスタッフが店長にきちんと話ができる環境ですね。
前の会社では、お店や本部で1日に30分だけ「ドーナッツタイム」という時間を作ったんです。1日の中でどこでも構いません。でも、必ず30分「ドーナッツタイム」を設けます。
メンバーはドーナツを持って30分間、上司部下関係なしでいろいろな話をします。そこには必ず人が入る。私も入っていました。上司と部下だけで話せば、部下はやっぱり二人きりだと話しづらいですから。そこに人が入ることによって話しやすい環境を作ってあげる。
そこではもう好きなことが言えます。様々なわだかまりもなくなりますし、それに素晴らしいアイデアとかも、いっぱい出てくるんです。実際に、まだ社歴も浅い販売メンバーの発言から、ブランドを作ったこともあります。「それ、すごくいいな」と思って、私が具体化してブランドを作りました。
見えていない部分って、いっぱいあるんですよね。ひとりの力は限られている。役職や年齢関係なく、一人ひとりを認めて、誰もが発言できれば、働きやすいし組織の力も強くなる。そういう意味で、意見が言える、コミュニケーションが取れるチーム、組織が大事なんです。
【03】目指す組織像
あとは、成長したいと思う人にきちんと道筋を作ってあげたいということですね。若い人が上に上がっていける道筋を組織としてつくる。利益責任を担保に権限を委譲するということも含めてです。
私は、「若いか、できるか」という言い方をしているんですけど、尺度は年齢ではないと思うんですよね。例えば、新入社員の中にも考え方が凝り固まってしまったお年寄りはいっぱいいます。逆に50歳、60歳でも若い人たちはいっぱいいる。
ファッションの流れというものが10年から15年と言われる中で、ましてや想像していたものが100%売れる時代でもない中で、何年も先をみて新しいものを生み出していく力や、何よりもチャレンジする気持ちは必須です。
特に新しいタカキューをつくっていくこの改革の中で、昔に捉われた考え方には注意が必要です。年齢に関係なく、「若いか、できるか」という尺度で、そこは見極めていかなければいけない部分だと思っています。
また、風土を築いていく、守っていくという中で「ならぬことはならぬ」ということを考えます。これは仕事の中で絶対的に私が言い続けてきたことです。いろいろな理由でいろいろなことが出てくると思います。でも絶対に、だめなものはだめと言い切ることが大切です。言い訳っていくらでもできますからね。
「怒る」「叱る」という言葉があります。混同されがちな言葉です。でもこの2つの行為は決定的な違いがあると私は言い続けてきました。
「怒る」というのはどちらかというと、仕事よりも自分の感情を含めています。一方「叱る」は相手への愛情から生まれる行為です。怒ってはいけない。愛情を持って叱る。
愛情を持って内容を理解して叱れば、相手は必ずわかってくれる、必ず返ってくる。それは自分の経験からそう言えます。
【04】目指す組織像
ずっとデザイナーをしてきたこともあって、私はお店が一番偉いと思ってきたんです。尊敬の念を持って接しないといけないと考えてきました。
多くのアパレルの会社では、デザイナーが偉いとか、営業が偉いとか、あるんですけど、私は本社は偉くないと思うんです。だから本社はお店のために何ができるか、何を手伝えるかということを考えなければいけない。
一方でお店にいる販売の方たちは、持ち上げられているだけではだめなんです。そこは販売のプロになってもらわないといけないと言い続けてきました。これは他の部署にもすべて言えることで、企画は企画のプロだし、広報は広報のプロ、全部あるはずなので。
自分がプロとして何の仕事ができるか。すべての部署がそういう意識を持ってスキルを磨いていれば、すごい力のついた組織になると思います。そしてお互いをリスペクトしあう。本当にプロを育てていきたいと思いますし、リスペクトしあえる風土をつくりたいですね。
【05】目指す組織像
販売のプロを育てるために教育チームをつくりたいと考えています。この販売教育チームに全国のお店を回ってもらって、そういう教育をどんどんしていく。これをやることで基本の知識が身につけば、あとは個人がどれだけ頑張るかですから。
最初はみんな未経験で素人ですから、そういった基本的な教育がなければ、むずかしいですよね。例えば、お客様がお店に入ってきたときに、何秒でお客様と目をあわせて、何秒で「いらっしゃいませ」と言えるか。お客様が服を見たときに何回目でアプローチするのか、商品の持ち方とか、たたみ方とか、包み方とか、言葉づかいとか。いろいろなものがあると思います。そういったものをイチからちゃんと教育をした上で戦っていただく。
最初に「新しいタカキューはゼロから商品をつくる」というお話をしましたけど、そうするとその商品を提供するための商品情報提供サービスというものがとても重要になってきます。商品情報をお店に伝えて、お店がお客様に伝えて、ということで「タカキューがこう変わった」と伝わっていく。商品だけが「変わりました」といっても、ぱっと見たらわからないんです、お店って。
では内装全部お金をかけて変えるかと言ったら、それはすごい膨大なお金がかかるので、できない。だから商品を変えながら、接客を変えながら、お客様に伝えていく。もちろんSNSとかも使いながら。
想像してみてください。昔からあるブランドのお店の前を通ったとします。服はもしかしたら変わっているかもしれないけれど、このブランドって昔のあのブランドだよねっていう感覚で、お店を見ないで通り過ぎてしまいませんか。
でも、よく見たら、すごく商品が変わっているかもしれない。見てみないと分からないですよね。だから接客することで、伝えていく。やっぱり人伝てに伝わることが一番早い手段ではないかと私は思うんです。クチコミですね。接客での体験がクチコミで広まる。それはSNSやネット含めて。
こういう時代だからこそ、人伝いに伝わっていくことが強いし、実質的なスピードもあるのではないか、意味のある伝わり方もするのではないかと思います。でも悪い意味で伝わることも早いですからね。だから、教育もしっかりしないといけない。販売教育チームの存在理由がそこにもあるわけです。
【06】求める人材像
アパレルで働くのであれば、やっぱり服が好きであってほしいというのが私の希望です。好きだと何をするにも、そんなに苦にはならない。これは私の経験上です。私は服が好きで、自分がいいものを着たい、お洒落なものを着たいという気持ちから、「じゃあ自分で作ろうかな」とデザイナーを目指しました。
販売でも同じことが言えると思うんですよね。いろいろなお客様に接するとき、服が好きだったら、自然と勉強したり、常に自分で何か身につけようとしたりする。好きをスキルに変えていく。その辺りで服が好きな人とまったく興味のない人の間には差が生まれると思うんです。
あとは、学生時代に何かに挑戦してきた人は強いと思います。スポーツでも音楽でも何でもいいと思うんですよね。何かひとつの目標を持ってやってきた人たちには、成し遂げる力、継続する力があります。
私は学生時代、ハンドボールを続けていました。国体とかにも出ましたし、学生時代は体育会系です。それが社会に出て何か直接役立ったかというと、そうではない。でも、続けたこと、もちろん苦しいこともずっとあったんですけど、その継続できたことが今の自分の力なのかなって思うんですよね。
学校を卒業して前の会社に入社したその日に決めたことは、「この会社にいる限り、自分は遅刻をしない」ということ。一番簡単で一番難しいものは何かと考えたとき、それを思いつきました。
30何年間、1日も遅刻しませんでしたね。それは学生時代に、運動していたときにずっと苦しいことも我慢してやり続けてきたことがそういうところに出たのかなと思います。
だから何かに挑戦してきた人たちは、継続する力を持っていると思います。そういう人たちが、次のことをやれば、必ず何か新しいものを見つけてくれるのではないか。それを引っ張り出すことが、導いてあげることが自分たちの仕事でもあるし、それが上司というものだと思います。
【07】最後に
買ってすぐに着たくなる服。その服を着たときに気持ちがワクワクする。そういう服を作っていきたいと私はずっと言い続けてきました。
この服を着て、どこかへ出かけたい。カッコいい服を着てデートして、カッコいいと言われたい。かわいい、きれいと言われたい。出掛ける前の日から服を掛けて、それを眺めながらワクワクドキドキしている。やっぱりそれが究極の服だし、服ってそういうものではないかと思います。
それ以外の服は、ファストファッションでいいんですよね。ファストファッションは生活するための衣料なので、それはそれぞれ別のものです。
この「ワクワクドキドキ」という気持ちは、仕事においても大きなエネルギーです。やっぱりその気持ちがあったら、お客様に対して自分が笑顔になる。接客するとき、笑顔になれる。そうするとお客様も気持ちよくお買い物ができます。誰だってムスッとした人から買うのは嫌だし、すごくいい笑顔で気持ちのいい人に接客されたら買いたくもなる。そういうものです。
ワクワクドキドキしながら絵を描くのと、何も考えずに何となく写真見ながら絵を描くのとでは出来上がるものは全然違う。商談だって同じです。いろいろな商談の場で、そういう気持ちがあれば相手に伝わる。生地屋さんも、工場さんも、「じゃあ、この人のためにやってやろうか。」ってなります。
マーケットだって、「このブランドはワクワクドキドキするよね。じゃあ、お店に入れてみようか。」とか「出品してみようか。」ってなるんです。
だから新しいタカキューをつくる上でその気持ち、「ワクワクしようよ!ドキドキしようよ!」というのは、すごく大切なキーワードでもあるかなと思います。
きっとそれは仕事以外でもそうなんだと思います。私は人生を生きていく上で、その気持ちをずっと持っていたい。70歳になろうが80歳になろうが、「ワクワクドキドキ」している人でありたいと思います。これまでも、これからも。そして、これから新しいタカキューをつくっていく仲間たちとその気持ちを共有したいと思っています。